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第7話 愛されない方が幸せ

Author: 花柳響
last update publish date: 2026-08-03 01:05:38
 瀬名が私を呼び止めたのは、夕方の撮影が終わったあとだった。

 スタッフ用の照明が落とされ、リビングには常設カメラの小さな待機灯だけが残っている。窓の外は暗く、ガラスにはソファと、立っている私たちの姿が二重に映っていた。

「真帆さん。ちょっとだけ」

 瀬名はソファへ座らず、窓際のテーブルにスマートフォンを伏せた。カメラの死角を探すように、半歩だけ位置を変える。

「景都さん、本気ですね。真帆さんのこと」

 その言葉を、彼女の口から聞きたくなかった。番組だからそう見えるだけだと返すと、瀬名は薄く笑った。

「そういうことにしたいんですね」

 カーテンの隙間から外灯の光が入り、頬を細く照らしていた。撮影中の笑顔より、今の顔のほうが幼く見える。

「何が言いたいの」

 瀬名は窓のほうを向いたまま言った。

「あの人に愛されない方が、幸せですよ」

 室内の冷房が切れ、急に静かになった。遠くで食器を片づける音がする。

 理由を尋ねると、彼女は「真帆さんのことになると、止まらないから」と答えた。

 消えていく記事。私の会社へ先回りした連絡。夜中に運ばれてきた粥。瀬名は、そのどこま
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